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【毎日コラム】その頭痛、我慢していませんか。女性の片頭痛と、月経・妊娠・更年期

「頭痛くらいで病院に行くのは大げさ」「市販の薬を飲めば、なんとかなるから」。そう考えて、何年も、月に何日も、頭痛と付き合っている方は少なくありません。

片頭痛は、女性に多い病気です。そして、月経、妊娠、出産、更年期と、女性ホルモンの変化にあわせて姿を変えます。

今日は、女性の頭痛、とくに片頭痛について、分かっていることを整理します。理学療法や体操、マッサージの効果についても、研究の結論をそのままお伝えします。

1|30代女性の約5人に1人

日本の全国調査(1997年)によると、片頭痛のある人は15歳以上の8.4%。女性は男性よりずっと多く、30代女性で約20%、40代女性で約18%でした。働き、子育てをする年代に、もっとも多い病気です。

緊張型頭痛(頭全体がしめつけられるような頭痛)は、さらに多く、およそ5人に1人とされています。

ところが、同じ調査で、片頭痛のある人の69.4%が医療機関を受診したことがなく、自分の頭痛が片頭痛だと認識していた人は11.6%にとどまっていました。2022年に報告された調査でも、片頭痛のある人の8割以上が市販薬を使っていました。

片頭痛の特徴は、次のようなものです。

  • ズキンズキンと脈打つような痛み(頭の片側のことが多いが、両側のこともある)
  • 動くと痛みが強くなる。寝込んでしまうこともある
  • 吐き気がする、光や音がつらい
  • 4時間から3日ほど続く
  • 人によっては、頭痛の前に、ギザギザした光が見えるなどの前兆がある

「頭痛で仕事や家事ができない日がある」という方は、片頭痛の可能性があります。

2|女性のライフステージと片頭痛

女性のライフステージと片頭痛。月経の開始2日前から3日目に起こりやすい、前兆のある片頭痛ではピルは原則使えない、妊娠後期には60〜80%で軽くなる、産後1か月で約半数が再発、更年期に頭痛の日が増える人がいる

月経:片頭痛のある女性の約半数が、月経との関連を自覚しています。起こりやすいのは、月経が始まる2日前から3日目まで。日記を用いた研究では、月経前の2日間は1.7倍、月経1〜3日目は2.5倍、発作が起こりやすくなっていました。この時期の発作は、ほかの時期に比べて重く、長く、薬が効きにくいとされています。

月経との関連を確かめるには、3周期ほど「頭痛ダイアリー」をつけることが勧められています。頭痛のあった日、強さ、飲んだ薬、月経の日を記録するだけです。受診のときにも、とても役に立ちます。

ピル:ここは、ぜひ知っておいていただきたい点です。前兆(ギザギザの光が見えるなど)のある片頭痛の方は、エストロゲンをふくむ低用量ピルを原則として使えません。脳梗塞のリスクが上がるためです。前兆のない片頭痛の方は、使えないわけではありませんが、慎重に使うこととされています。ピルを処方してもらうときは、片頭痛があること、前兆があるかどうかを、必ず伝えてください。

妊娠中:うれしい知らせもあります。片頭痛は、妊娠後期には60〜80%の方で軽くなります。イタリアの研究では、妊娠後期には約8割の方で発作がなくなっていました。

産後・授乳中:ただし、同じ研究で、産後1か月までに55.3%の方で発作が戻っていました。睡眠不足と疲れが重なる時期です。授乳中でも使える薬があります。我慢せず、産院やかかりつけ医に相談してください。

更年期:米国の調査では、頭痛の日数が多い人の割合が、閉経前(8.0%)より閉経の前後の時期(12.2%)で高くなっていました。ホルモンが不安定に揺れる時期に、頭痛が増える方がいるようです。

3|妊娠中・産後の「危険な頭痛」

妊娠中と産後は、ふだんの頭痛とは違う、危険な頭痛が隠れていることがある時期です。米国の病院で、頭痛のために神経内科に相談された妊婦さんを調べた研究では、35%がほかの病気による頭痛で、その約半数が妊娠高血圧症候群などの高血圧に関連したものでした。

妊娠中・産後に次のような頭痛があるときは、すぐに産院へ連絡してください。

  • これまで頭痛がなかったのに、初めて強い頭痛が起きた
  • 突然の、経験したことのない激しい頭痛
  • 血圧が高い、むくみが急にひどくなった
  • 目がチカチカする、見えにくい、みぞおちが痛い、吐き気が強い
  • 手足のしびれや力の入りにくさ、ろれつが回らない、けいれん
  • 熱がある

無痛分娩や帝王切開で背中からの麻酔を受けた方が、産後数日のうちに、起き上がると強くなり横になると軽くなる頭痛を感じた場合は、麻酔に関連した頭痛のことがあります。これも、産院に伝えてください。

4|痛み止めの「飲みすぎ」で起こる頭痛

頭痛薬を頻繁に使っていると、かえって頭痛が増えることがあります。「薬剤の使用過多による頭痛」と呼ばれます。

国際的な診断基準では、月に15日以上頭痛があり、次のような薬の使い方が3か月を超えて続いている場合とされています。

  • 複数の成分が入った痛み止め、トリプタンなど:月に10日以上
  • 成分がひとつだけの痛み止め(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど):月に15日以上

市販の頭痛薬の多くは、複数の成分が入ったタイプです。新潟県糸魚川市の住民調査では、15〜64歳の2.32%にこの頭痛があり、使いすぎていた薬の半数は、複数成分の痛み止めでした。患者さんの7割以上が女性とされています。

「月に10日以上、頭痛薬を飲んでいる」という方は、薬を増やす前に、医療機関でご相談ください。

5|予防という選択肢

頭痛の診療ガイドラインは、片頭痛の発作が月に2回以上ある場合や、生活に支障のある頭痛が月に3日以上ある場合に、予防のための治療を検討するとしています。

予防の薬は、近年大きく進歩しました。片頭痛の発作に関わる物質(CGRP)のはたらきを抑える注射薬が、日本では2021年から使えるようになり、その後、飲み薬も登場しています。使える条件が決まっていますので、頭痛外来や脳神経内科でご相談ください。

「片頭痛は体質だから、耐えるしかない」という時代では、なくなっています。

頭痛に悩む女性のイラスト

6|薬以外の方法:何に、どのくらい根拠があるか

有酸素運動:メタ分析では、片頭痛の日数が月に0.6日減るという結果でした。効果は小さいものの、根拠の質は中程度です。別の分析では、筋力トレーニングや有酸素運動で月に2〜3日減るとされていますが、こちらは間接的な比較をふくむ推計です。運動は、「少し効く可能性がある、害の少ない方法」と言えます。

生活のリズム:ガイドラインは、片頭痛の誘因として、ストレス、寝不足と寝すぎ、食事を抜くこと、脱水、月経などを挙げています。週末の寝だめや、忙しくて昼食を抜くことが引き金になる方もいます。カフェインは、1日200mg以上を毎日とり続けることに注意、とされています。

マッサージ・徒手療法:理学療法士として、ここは正直にお伝えします。片頭痛に対する徒手療法は、系統的レビューで、頭痛の日数も生活の質も変えなかったと結論されています。背骨への手技を偽の手技と比べた試験でも、差はありませんでした。ガイドラインも、マッサージなどについて「有効性を明確に示した報告はない」としています。

緊張型頭痛の場合:首や肩のこりをともなう緊張型頭痛では、関節を動かす手技が頭痛の頻度に効果が「あるかもしれない」という程度です。頭痛体操は、専門家の意見の水準ですが、副作用も費用もないことから、ガイドラインで弱く推奨されています。ガイドラインは、受け身の治療だけでなく、ご自身で体を動かす方法が重要だとしています。

鍼:緊張型頭痛では、頭痛の頻度が半分になった人が、鍼で51%、偽の鍼で43%でした。片頭痛では、偽の鍼との差は小さいとされています。

7|すぐに受診すべき頭痛

妊娠・産後に限らず、次のような頭痛は、ふだんの頭痛とは別のものと考えて、早めに(突然の激しい頭痛は救急で)受診してください。

  • 突然始まった、これまでで最悪の頭痛
  • 熱、首のかたさをともなう
  • 手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、ものが二重に見える
  • 50歳を過ぎて初めて起きた頭痛
  • 日に日に悪くなっていく、これまでとパターンが変わった
  • 頭を打ったあとの頭痛
  • 咳や力みで起こる、姿勢で大きく変わる
  • がんや免疫の病気の治療中

8|こどもの頭痛

片頭痛は、こどもにもあります。小学生の3.5%、中学生の約5%に見られます。こどもの片頭痛は、大人より時間が短く、両側が痛むことも多いため、気づかれにくいことがあります。「朝になると頭が痛いと言う」「顔色が悪くなって吐く」「寝ると治る」をくり返すときは、小児科で相談してみてください。

9|保健室でお手伝いできること

先ほどお伝えしたとおり、片頭痛そのものを手技で治すことはできません。片頭痛が疑われる方には、頭痛外来・脳神経内科の受診をおすすめしています。

そのうえで、女性とこどもの保健室でお手伝いできることがあります。

  • 首や肩のこりをともなう頭痛に対する、姿勢の確認と、ご自分でできる体操のご提案
  • 授乳や抱っこの姿勢、デスクワークの環境の見直し
  • 無理なく続けられる有酸素運動の組み立て
  • 頭痛ダイアリーのつけ方、受診先のご案内

その場のほぐしだけで終わらせず、ご自宅で続けられる方法をお持ち帰りいただくことを大切にしています。

10|今日から持ち帰っていただきたい5つのこと

  1. 片頭痛は、30代女性の約5人に1人。約7割が受診していませんでした。
  2. 月経の2日前から3日目に起こりやすく、妊娠後期には軽くなり、産後に戻りやすくなります。
  3. 前兆のある片頭痛の方は、低用量ピルを原則使えません。処方のときに必ず伝えてください。
  4. 頭痛薬を月に10日以上飲んでいる方は、薬の使いすぎによる頭痛に注意。予防という選択肢があります。
  5. 妊娠中・産後の初めての強い頭痛、突然の激しい頭痛は、すぐに受診を。

頭痛は、我慢の強さを競うものではありません。まずは3か月、記録をつけるところから始めてみませんか。


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千葉県流山市(流山セントラルパーク駅 徒歩1分)の「女性とこどもの保健室」は、理学療法士が担当する、託児つきの女性専門治療院です。このコラムの内容に関連するメニューをご紹介します。

  • 骨盤調整・整体:理学療法士が、姿勢・骨盤まわり・全身の状態を確認して体をととのえます。肩こりや腰痛、産後の体のメンテナンスに。
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本記事は公開されている研究論文および公的統計にもとづく一般的な情報提供です。症状や発達の原因は人によって異なります。個別の状況については、医療機関や専門職にご相談ください。


参考文献・出典

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