産後ケア 世界事情※後編
前回のブログに引き続き、産後ケア世界事情についてまとめていきます。今回は欧州編です🇫🇷
オランダ
オランダにはクラームゾルフという、産後ケアを専門に行う国家資格者いて、産後8日間にわたって毎日自宅訪問をしてくれます。
新生児の発育チェックやお世話の仕方、悪露の処理、骨盤底筋のケア、洗濯や料理などの家事を含めさまざまなケアをしてくれます。
クラームゾルフは保険でカバーされるため無料なのも特徴です。
スウェーデン
産後の骨盤底筋ケアは看護師が担当することが多いようです。TENS(経皮的電気神経刺激)治療という、下腹部などに電極を貼って膀胱や骨盤底筋を刺激する治療も行っています。
膀胱が過敏に動くために起こる失禁(過活動膀胱)に対しては医師が筋肉を弛緩させるボトックス(ボツリヌス毒素)を膀胱内に注入するといった、日本では保険適用外の治療も広く実施されています。
フランス
骨盤底筋群をふくむ骨盤底全体のことをフランス語でペリネと言いますが、フランスではペリネケアのためのリハビリ施設が一般的に普及し
ており、産後である・なしを問わず、ケアが必要だと判断され、処方箋が出ればかかる費用は100%保険適用されています。 欧州の中でもフランスが最も手厚い制度が整っていると言われています。
前編から一部ではありますが、産後ケアの世界事情をまとめてみましたが、みなさんは日本との違いを感じましたか?
日本では産後は通常4日~1週間ほど入院し、その間は24時間ケアを受けられる環境ですが、退院後は行政から派遣される母子保健担当の保健師等が産後に1回訪問する程度かと思います。
滞在型や訪問型の在宅サービスをうまく利用されている方もいますが、自己負担となると踏み出せなかったり、自分でなんとかしようと頑張ってしまう方が多いのではないでしょうか。
また、発育ケアや母乳ケアなど赤ちゃんのためなら自己負担は惜しまない方も、ご自身の産後ケアには消極的になってしまうのかもしれません。
日本で産後ケアが保険適用化するまでにはまだまだ時間がかかるかもしれません。
世界的に産後ケアが保険適用されていたり、民間サービスとしても充実している国が多いことからもわかるように、日本人だけが産後ケアを怠ってよいとは言えないと思います。
当院ではお一人お一人に合わせた通い方などの相談にも対応していますので、一度ご来院の上ご相談くださいませ。
引用 日経ヘルス18年3月号、産後ケアの文化的背景と現代の課題についての一考察(文京学院大学保健医療技術学部紀要第8巻)