産後の体重変化に影響する因子は?
産後の体重変化に影響する因子は?
完全母乳の方は産後一年後の体重減少が大きいとされています。1)
授乳以外で産後体型に影響を与える要素としては、
十分に睡眠が取れない母親は、妊娠中に増えた体重を減らすことができない可能性あるという研究が出ています。睡眠時間が5時間の母親は、睡眠6、7、8時間の母親と比較し、体重が減っている確率が少ないです。2)
また、産後に非妊時体重へ復帰しない女性の生活習慣として、料理の品数が少ないこと、脂質の摂取割合が高いことがありました。3)
非妊時体重への復帰に有意に影響を及ぼした項目としては、妊娠中の体重増加、母乳率、食事の規則性(朝食摂取、1日の食事回数を規則的にする、夕食は寝る3時間前までにすませる)、食事内容(薄味になるように心がける)、過去のダイエット経験などが挙げられています。4)
逆に、産後の体重増加(5kg以上)に関連があった因子としては、食事摂取量の増加、間食3回/以上がありました。5)
また別の研究では、産後の体重回復について、非妊時の体格指数が標準(18.5≦BMI<25.0)であった者54名について検討しています。
結果、産後6ヵ月までに非妊時体重に回復した者は、妊娠中の至適体重増加を達成できた31名中のうちでは29名であり、
妊娠中に至適体重増加を達成できなかった23名のうちでは、産後に非妊時体重に回復した者は15名で、
妊娠中の至適体重増加による違いで有意な差がみられました(P<0.05)。6)
つまり、妊娠中に至適体重増加を守ることが、産後の体重回復にも関係してくるということが言えます。
以上の研究結果からまとめると、産後の体重変化に影響を与える因子は、
・睡眠時間
・食事の規則性、内容、量
・母乳率
・妊娠中の体重増加
産後はご自身が思っている以上にエネルギーを必要とします。母乳とご自身の身体の回復のために、まずは必要な栄養を十分に摂ることが最優先、その上で、筋肉量や基礎代謝を落とすことなく、健康的に体重を落とすことにフォーカスしていきましょう。
参考文献
1)Jarlenski MP et al. Effects of breastfeeding on postpartum weight loss among U.S. women. Prev Med. 2014 Dec;69:146-50.
2)Erica P. Gunderson, Ph.D., investigator, Kaiser Permanente Division of Research, Oakland, Calif.; Claire D. Brindis, Dr.P.H., professor of pediatrics, University of California, San Francisco; November 2007, American Journal of Epidemiology
3)中川光子, and 小林聡美. “妊娠から産後を通した体重の変化と食事内容の追跡調査.” 母性衛生= Maternal health 44.4 (2003): 422-430
4)木村涼子. “産後 10 か月女性の体重復帰と母乳率, 食習慣及び美容意識の関連.” 東北文化学園大学看護学科紀要= Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing 4.1 (2015): 11-18.
5)Öhlin, Agneta, and Stephan RÖssner. “Trends in eating patterns, physical activity and socio-demographic factors in relation to postpartum body weight development.” British Journal of Nutrition 71.04 (1994): 457-470.
6)白石喜世美, et al. “至適体重増加チャートに基づいた体重コントロール支援の効果に関する検討.” 母性衛生 53.1 (2012): 107-115.