介護予防

骨盤の角度と骨盤底筋の働き・骨盤臓器脱との関係について*

骨盤臓器脱、50歳以上の女性の40%に

【 骨盤を立てる 】という表現、当院に通われていらっしゃる方は聞いたことがあるかと思います。

骨盤を立てるとは、お腹と背中をサンドイッチして手で押さえた時、その手が床に垂直になる姿勢。

専門用語では、『骨盤中間位』と言います。この骨盤中間位の立位では、腹腔内の骨盤内臓器などの重みは骨構造によって受け止められ、骨盤底筋群や筋膜にかかる負担は小さくなります。

一方で、骨盤が後ろに傾いた骨盤後傾位の立位では、腹腔内の骨盤内臓器などの重みは骨盤底に対してより垂直にかかり負担が大きくなります1)

白人女性を対象とした研究で、骨盤臓器脱対象者は、健常女性と比較して胸椎(肩甲骨周りの背骨の骨)後弯が増大していました。2)

骨盤臓器脱とはイラストのように、臓器が膣から出てきてしまう状態のこと。

ヒスパニックおよび白人女性を対象とした研究では、骨盤臓器脱対象者は、健常女性と比較して腰椎前弯が減少し、骨盤入口部の前傾が減少していました。3)

 

骨盤底筋群は、背もたれを使用した座位のslump positionと比較して、背もたれを使用しないupright positionでは安静時の筋活動量が有意に高値となります。4)

骨盤臓器脱は50歳以上の女性の40%以上が有するという研究もあり、早め早めに姿勢と筋肉の使い方を習得し、女性としての一生を楽しめるよう、今から出来ることをしておくことが大切です。3)

 

参考文献

1)田舎中真由美:骨盤臓器下垂,脱に対する理学療法, PTジャーナル47 : 879-887, 2013.

2)Lind LR et al : Thoracic kyphosis and the prevalence of advanced uterine prolapse. Obstet Gynecol 87 605-609, 1996

3)Nguyen JK et al Lumbosacral spine and pelvic inlet changes associated with pelvic organ prolapse. Obstet Gynecol 95:332-336, 2000

4)Sapsford RR et al : Sitting posture affects pelvic floor muscle activity in parous women : an observational study. Aust J Physiother 52: 219-222, 2006.

5)Hendrix SL et al : Pelvic organ prolapse in the Women’s Health Initiative : gravity and gravidity. Am J Obstet Gynecol 186 1160-1166, 2002

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