子育て

【毎日コラム】かんしゃくは、5分以内におさまることが多い。イヤイヤ期を研究はどう見ているか

スーパーの床にひっくり返って泣く。靴をはくのもイヤ、脱ぐのもイヤ。「自分で!」と言ったのに、できなくて怒る。

いわゆる「イヤイヤ期」のまっただ中にいる保護者の方は、毎日ほんとうにお疲れさまです。周りの目が気になり、つい大きな声を出してしまい、寝顔を見ながら落ち込む。そんな夜もあるのではないでしょうか。

今日は、幼児のかんしゃくについて、研究で分かっていることをお伝えします。どのくらい続くのか、なぜ起こるのか、どう関わるとよいのか。そして、保護者自身のしんどさについても。

1|かんしゃくは、ほとんどの子にある

かんしゃくと親の気持ち。3〜5歳でこの1か月にかんしゃくがあった子83.7%、毎日ある子8.6%。しつけに難しさを感じる養育者70.0%、体罰等のあとに後悔したことがある88.7%

米国で3〜5歳のこども1,490人を調べた研究(Wakschlag ら、2012年)では、過去1か月のあいだにかんしゃくを起こした子は83.7%でした。ほとんどの子に、かんしゃくはあります。

一方、「毎日」かんしゃくを起こす子は8.6%。1割に満たない数字です。かんしゃくは「ある」のがふつうで、「毎日ではない」のもふつう、ということになります。

フィンランドで保護者に振り返ってもらった調査では、かんしゃくが始まった時期は2〜3歳が約3分の2で、5歳以降には半数以上でおさまっていました。1〜5歳を調べたオランダの研究でも、年齢とともに回数は減っていきます。

2|1回のかんしゃくは、思ったより短い

かんしゃくのさなかにいると、永遠に続くように感じられます。けれども、1歳半〜5歳のこども335人について保護者が記録した研究(Potegal ら、2003年)では、いちばん多かった長さは30秒〜1分。75%は、5分以内におさまっていました。

この研究は、かんしゃくの「中身」も調べています。かんしゃくには、怒り(叫ぶ、たたく、ける、ものを投げる)と、悲しみ(泣く、ぐずる、なぐさめを求める)の2つの成分があります。怒りは始まってすぐにピークを迎えて下がっていき、あとに悲しみが残ります。

つまり、いちばん激しいところでは、何を言っても届きにくい。そして、嵐が少しおさまってくると、こどもはなぐさめを求め始めます。関わるタイミングは、後半にあります。

3|なぜ起こるのか

言葉が追いついていない:1〜3歳のこども約2,000人を調べた研究では、話せる言葉が少ない子ほど、かんしゃくが強い傾向がありました。2歳〜2歳半で言葉がゆっくりな子は、強いかんしゃくが約2倍多く見られています。別の研究では、言葉の力が伸びた子ほど、その後、怒りの表し方が落ち着いていきました。

「こうしたい」という気持ちは大きくなっているのに、それを伝える言葉がまだない。そのもどかしさが、体ごとの表現になります。ただしこれは関連を示した研究で、「言葉が遅いからかんしゃくが起きる」と決まったわけではありません。

気持ちのブレーキが育っている途中:自分の行動や気持ちをコントロールする力は、3歳から7歳にかけて大きく伸びることが分かっています。2歳の子にブレーキがきかないのは、しつけの問題ではなく、発達の順番です。

眠い:2歳半〜3歳の子に、いつもの昼寝をさせなかった日と、させた日を比べた実験があります。昼寝を抜いた日は、解けないパズルに対するいら立ちなどの否定的な反応が増え、うまくいったときの喜びの反応は減りました。小さな研究ですが、多くの保護者の実感と合っているのではないでしょうか。

研究者は、お腹がすいた、眠い、体調が悪い、といったときに突然起こるかんしゃくは、心配なものと考えなくてよい、としています。夕方のかんしゃくは、その子の性格ではなく、1日の疲れの表れかもしれません。

4|関わり方:研究で支持されているもの

保護者向けのプログラム(ペアレントトレーニング)は、世界中で数多くの比較試験が行われています。代表的なプログラムのメタ分析では、こどもの行動への効果が確かめられています。ただしこれらは、こどもの問題行動全般を対象にしたもので、イヤイヤ期に限った数字ではありません。

154の試験を分析して、「どの関わり方が効果に結びついているか」を調べた研究(Leijten ら、2019年)では、次の2つが挙げられています。

  • できていることを認める・ほめる:「おくつ、自分ではけたね」「待っててくれて助かった」。困った行動を減らそうとするより、してほしい行動に目を向けて言葉にする
  • 行動の自然な結果を経験させる:「おもちゃを投げたら、今日はそのおもちゃはおしまい」。罰として関係のないことを取り上げるのではなく、行動とつながった結果を、落ち着いて、予告どおりに行う

オーストラリアで1歳半〜3歳の子の保護者300人を対象に行われた試験では、こどもの気持ちに名前をつけて受けとめる関わり方(「くやしかったね」「まだ遊びたかったんだね」)を学んだ群で、こどもの行動が改善しました。

厚生労働省の「体罰等によらない子育てのために」は、具体的な工夫として次のようなものを挙げています。

  • こどもの気持ちや考えに耳を傾ける
  • 「〜しないで」ではなく、「〜しようね」と肯定の形で、具体的に伝える
  • 選択肢を示す(「赤いくつと青いくつ、どっちにする?」)
  • 場面を切り替える、気分を変える
  • 良いこと、できていることを、具体的にほめる

正直にお伝えすると、「選択肢を与える」「前もって予告する」といった一つひとつの方法を、単独で確かめた試験は見つかりませんでした。それでも、どれも害がなく、試してみる価値のある方法です。うまくいく日もあれば、まったく通じない日もあります。通じない日は、方法が悪いのではなく、そういう日なのです。

5|かんしゃくの最中に、できること

研究が示すかんしゃくの経過(怒りが先にピークを迎え、悲しみがあとに残る)から考えると、最中の関わりは、次のように整理できます。

  1. 安全を確かめる:道路、階段、硬いものの近くなら、まず場所を移す
  2. いちばん激しいときは、言葉を少なく:説得も、質問も、叱ることも、この段階では届きません。そばにいて、待つ
  3. おさまってきたら、受けとめる:「いやだったね」と短く。抱っこを求めてきたら、応じる
  4. かんしゃくで要求は通さない:泣いたからお菓子を買う、とすると、次も同じ方法を使うようになります。「買わない」は変えず、気持ちだけを受けとめる
  5. 落ち着いたら、引きずらない:長いお説教はいりません。切り替えられたことを認めて、次へ

外出先では、周りの目がつらいものです。けれども、床に寝ころんで泣く2歳児は、発達の教科書どおりの姿です。その場を離れて、静かな場所で待つ。それで十分です。

6|スマートフォンでなだめることについて

泣きやまないとき、動画を見せると、ぴたりとおさまる。助かる場面は、たしかにあります。

米国で3〜5歳の子422人を半年間追った研究では、気持ちをなだめる目的で端末を使うことが多いほど、その後の気持ちの揺れやすさが大きくなる、という関連が見られました。ただし、関連が見られたのは男の子と、もともと活発な気質の子で、効果も小さなものです。カナダの研究では、タブレットの使用が多いと1年後に怒りの表出が増え、怒りっぽい子ほどその後のタブレット使用が増える、という両方向の関連が報告されています。

これらは、「動画を見せると気持ちの調整ができなくなる」と証明したものではありません。電車の中、病院の待合室、どうにもならないときに頼るのは、責められることではないと思います。ただ、「泣いたら動画」が毎回の決まりごとになると、こどもが自分で気持ちを落ち着ける練習の機会は減るかもしれない。そのくらいに受けとめておくのがよさそうです。

泣いているこどもをあやす母親

7|たたく・怒鳴るは、効くのか

日本では、2020年4月から、親権者がしつけに際して体罰を加えることが、法律で禁止されています。厚生労働省は、「身体に何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為は、どんなに軽いものであっても体罰」としています。同時に、これは保護者を罰したり、追いつめたりするためのものではない、とも明記しています。

研究はどうでしょうか。約16万人のデータをまとめたメタ分析(Gershoff ら、2016年)では、おしりをたたくなどの体罰は、調べた17の項目のうち13で、こどもにとって望ましくない結果と関連していました。良い結果との関連は、ひとつもありませんでした。

日本の全国調査(21世紀出生児縦断調査、約2万9千人)でも、3歳半のときに「ときどき」たたかれていた子は、5歳半の時点で行動上の問題がやや多く、「いつも」たたかれていた子では、さらに多くなっていました。

米国小児科学会も、たたく、怒鳴る、恥をかかせるといったしつけは、短期的な効果はわずかで、長期的な効果はない、としています。

8|それでも、怒鳴ってしまう日がある

ここまで読んで、胸が痛くなった方がいるかもしれません。

厚生労働省の補助事業で行われた、養育者5,000人への調査(2020年)があります。過去6か月のあいだに、こどもに体罰等(たたく、怒鳴りつける、傷つく言葉を言う、などをふくむ)をしたことがある人は33.5%。3〜6歳の子を育てている人に限ると、約半数でした。

そして、体罰等をした人のうち88.7%が、そのあとに後悔した経験がある、と答えています。しつけに難しさを感じている人は、70.0%でした。

怒鳴ってしまうのは、あなたが冷たい親だからではありません。多くの場合、睡眠が足りず、助けが足りず、余裕が足りないからです。こどものかんしゃくに「眠い・お腹がすいた」が関わっているように、大人の爆発にも、疲れと空腹と孤立が関わっています。

怒鳴ってしまったあとは、落ち着いてから「さっきは大きな声を出してごめんね」と伝える。それは、こどもにとって、気持ちの立て直し方を見る機会にもなります。

ひとりで抱えきれないときは、相談してください。

  • 市区町村のこども家庭センター:子育て全般の相談窓口です
  • 親子のための相談LINE:匿名で相談できます(受付時間は自治体によって異なります)
  • 児童相談所相談専用ダイヤル 0120-189-783:子育ての悩みを相談できます(通話料無料)
  • 児童相談所虐待対応ダイヤル 189:「自分がこどもを傷つけてしまいそう」というときにも、かけてよい番号です(通話料無料)

9|相談を考える目安

ほとんどのかんしゃくは、成長とともに減っていきます。一方で、3〜6歳のこどもを調べた研究(Belden ら、2008年)は、次のような特徴がある場合は、専門家に相談する目安になりうるとしています。

  • かんしゃくのたびに、多くの場合、大人をたたく・けるなどの攻撃や、ものを激しく壊す行動がある
  • 自分を傷つける行動がある(頭を打ちつける、自分をかむ、など)
  • 家で、月に10〜20日もかんしゃくがある。または、園や外出先で1日に5回以上が何日も続く
  • 1回が、平均して25分を超える
  • 自分では落ち着けず、ほとんどいつも大人の助けが必要

研究者自身が、これは診断の基準として確かめられたものではない、と断っています。当てはまるから問題がある、という意味ではありません。けれども、保護者が「育てにくい」「毎日がつらい」と感じているなら、それだけで相談する理由になります。乳幼児健診、かかりつけの小児科、市区町村の保健センターで、相談できます。言葉の発達がゆっくりだと感じているときも、あわせて伝えてみてください。

10|保健室でお手伝いできること

女性とこどもの保健室では、理学療法士が、お子さんの発達と、保護者の方の体の両方を拝見します。

  • 体の動かし方、遊び方、感覚の敏感さなど、発達の様子の確認
  • 「眠い・疲れた」が出やすい子の、1日のリズムと体を動かす遊びのご提案
  • 抱っこや追いかけっこで疲れた、保護者の方の腰・肩・手首のケア
  • お話を伺い、必要に応じて小児科や地域の相談窓口をご案内すること

託児がありますので、ほんのひととき、お子さんと離れて体を休める時間としても使っていただけます。保護者の方が少し回復することは、こどもへのいちばんの手当てでもあります。

11|今日から持ち帰っていただきたい5つのこと

  1. かんしゃくは、3〜5歳の8割以上にあります。毎日ある子は1割未満です。
  2. 1回のかんしゃくの75%は、5分以内におさまります。いちばん激しいときは、言葉を少なく、そばで待つ。
  3. 背景には、言葉の発達、気持ちのブレーキの発達、そして眠気があります。しつけの失敗ではありません。
  4. 効果に結びついているのは、できていることを認めること。たたく・怒鳴るに、長期的な効果はありません。
  5. 体罰等をした保護者の約9割が、後悔しています。つらいときは、0120-189-783 や地域の窓口へ。

嵐は、過ぎます。今日の5分も、この数年も。


関連するメニューとコラム

千葉県流山市(流山セントラルパーク駅 徒歩1分)の「女性とこどもの保健室」は、理学療法士が担当する、託児つきの女性専門治療院です。このコラムの内容に関連するメニューをご紹介します。

  • me TIME:スタッフがお子さまをお預かりし、保護者の方が個室でひとりの時間を過ごせるプラン。
  • 骨盤調整・整体:理学療法士が、姿勢・骨盤まわり・全身の状態を確認して体をととのえます。肩こりや腰痛、産後の体のメンテナンスに。

メニュー・クーポンの一覧を見る(ホットペッパービューティー)

あわせて読みたいコラム


ご相談・ご予約

女性とこどもの保健室は、理学療法士・助産師・看護師・保育士が連携して、妊活から更年期まで女性の体をみる施設です。流山本院は保育士・看護師による託児付き(生後1か月からお預かりしています)、勝どき出張院は完全予約制のプライベートサロン、横浜は産婦人科医と連携した骨盤底筋ケアを行っています。

女性とこどもの保健室の3つの拠点。流山本院(託児付き)、勝どき出張院(完全予約制プライベートサロン)、横浜みなみレディースクリニック(産婦人科医連携)

「病院に行くほどではないけれど、誰かに診てもらいたい」——その段階でのご相談を、いちばん歓迎しています。


本記事は公開されている研究論文および公的統計にもとづく一般的な情報提供です。症状や発達の原因は人によって異なります。個別の状況については、医療機関や専門職にご相談ください。


参考文献・出典

  1. Wakschlag LS, et al. Defining the developmental parameters of temper loss in early childhood: implications for developmental psychopathology. J Child Psychol Psychiatry. 2012;53(11):1099-1108.
  2. Potegal M, Davidson RJ. Temper tantrums in young children: 1. Behavioral composition. J Dev Behav Pediatr. 2003;24(3):140-147.
  3. Potegal M, Kosorok MR, Davidson RJ. Temper tantrums in young children: 2. Tantrum duration and temporal organization. J Dev Behav Pediatr. 2003;24(3):148-154.
  4. Österman K, Björkqvist K. A cross-sectional study of onset, cessation, frequency, and duration of children’s temper tantrums in a nonclinical sample. Psychol Rep. 2010;106(2):448-454.
  5. Van den Akker AL, et al. J Dev Behav Pediatr. 2022;43(7):409-417.
  6. Manning BL, et al. Relations between toddler expressive language and temper tantrums in a community sample. J Appl Dev Psychol. 2019;65:101070.
  7. Roben CK, Cole PM, Armstrong LM. Longitudinal relations among language skills, anger expression, and regulatory strategies in early childhood. Child Dev. 2013;84(3):891-905.
  8. Montroy JJ, et al. The development of self-regulation across early childhood. Dev Psychol. 2016;52(11):1744-1762.
  9. Berger RH, et al. Acute sleep restriction effects on emotion responses in 30- to 36-month-old children. J Sleep Res. 2012;21(3):235-246.
  10. Leijten P, et al. Meta-analyses: key parenting program components for disruptive child behavior. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2019;58(2):180-190.
  11. Sanders MR, et al. Clin Psychol Rev. 2014;34(4):337-357/Thomas R, et al. Pediatrics. 2017;140(3):e20170352/Menting AT, et al. Clin Psychol Rev. 2013;33(8):901-913.
  12. Havighurst SS, et al. Behav Res Ther. 2022;149:104016.
  13. 厚生労働省「体罰等によらない子育てのために〜みんなで育児を支える社会に〜」2020年2月.
  14. Radesky JS, et al. Longitudinal associations between use of mobile devices for calming and emotional reactivity and executive functioning in children aged 3 to 5 years. JAMA Pediatr. 2023;177(1):62-70.
  15. Fitzpatrick C, et al. Early-childhood tablet use and outbursts of anger. JAMA Pediatr. 2024;178(10):1035-1040.
  16. Gershoff ET, Grogan-Kaylor A. Spanking and child outcomes: old controversies and new meta-analyses. J Fam Psychol. 2016;30(4):453-469.
  17. Okuzono S, Fujiwara T, Kato T, Kawachi I. Spanking and subsequent behavioral problems in toddlers: a propensity score-matched, prospective study in Japan. Child Abuse Negl. 2017;69:62-71.
  18. Sege RD, Siegel BS; American Academy of Pediatrics. Effective discipline to raise healthy children. Pediatrics. 2018;142(6):e20183112.
  19. 令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査」事業報告書, 2021年.
  20. Belden AC, Thomson NR, Luby JL. Temper tantrums in healthy versus depressed and disruptive preschoolers: defining tantrum behaviors associated with clinical problems. J Pediatr. 2008;152(1):117-122.
  21. こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル『189』について」「親子のための相談LINE」「こども家庭センター」.

流山市でお身体悩みを相談するなら
女性とこどもの保健室
https://nozomi-salon.com/


〒270-0152
流山市前平井94アークヒルズ英103
TEL:04-7178-9773