健康な体作り

運動とサプリメント摂取のタイミング

当院でもよくご質問を受けます、「これいつ飲んだら良いですか?」という質問に対し、ちょっと理論からお話しさせていただきますね*

スポーツ先進国アメリカでは、スポーツサプリメントは摂取シーンごとにセグメントを分けて販売されています。
具体的には、ブランドごとに製品が並んでいるのではなく、「pre workout(運動前)intra workout(運動中)post workout(運動後)」という3つの運動シーンごとに分かれて各社の製品が並べられており、その中で求められるニーズに応じて様々な素材が配合されています。例えば運動前はシトルリンやアルギニンなど血流促進効果を介して運動パフォーマンスを向上する素材が主に配合されています。当院でも岩盤EMS前やランニングイベントの前には、Lアルギニンドリンクを飲んで頂くことを推奨しています。

また、運動中はBCAAやクレアチニンなどの筋肉エネルギーとなる素材が使用されており、運動後はプロテインをベースとして、そこにBCAAやHMB(詳しくは先日のこちらの記事を→筋肉を作るスイッチを入れる!HMB)など、運動による筋肉の分解を抑え、合成を促進させる素材を配合するケースが目立ちます。現在の日本では、運動後のプロテイン補給の重要性などは近年比較的知られるようになってきましたが、運動前のシーンで特定の栄養素を積極的に摂取する、という習慣はまだ根付いていないように考えられます。

今回は、運動前のシトルリンとアルギニンの摂取が持久力の向上という観点で有効であると考えられる研究をご紹介します。出来るだけ分かり易く書いてみましたので、ぜひ最後までお読みくださいね*

【Pre workout】

L-シトルリンは私たちの体内に存在するアミノ酸の一種でありますが、たんぱく質には取り込まれず、遊離アミノ酸という形で存在します。L-シトルリンは血管の内皮細胞で一酸化窒素(NO)産生の前駆体として働き、NOを介した血管拡張、血流改善効果が広く知られています(1)


NOの直接の前駆体としてはL-アルギニンが知られており、シトルリンも一度アルギニンに代謝されてからNO産生に利用されることが知られていますが、実際はL-アルギニンそのものを摂取するよりも、L-シトルリンを摂取した方が、血中L-アルギニン濃度は効率的に上昇することが知られています(2)。これは腸管で吸収される過程での、アルギニンとシトルリンの代謝の差によるものと推測されますが、このことからも体内のNOを上昇させるためには、L-アルギニンよりもL-シトルリンの方が有効である可能性が考えられます。当院で採用しているL-アルギニンのサプリメントも、この機序に十分な量のL-シトルリンが含まれています。


アメリカでは、L-シトルリンやL-アルギニン、またはそれらの塩が配合されたサプリメントは「NO BOOSTER」と呼ばれ、運動前に摂取することで、運動のパフォーマンスや筋持久力の向上、パンプアップ(筋トレ後に筋肉が大きくなること)などの効果があるとされています。アメリカでのL-シトルリンとL-アルギニンの使用量は年間約1000〜2000tと推定されていて(3)、日本国内と比較すると非常に大きなマーケットが形成されています。

 

L-シトルリンは、アミノ酸特有の苦みや匂いなどが他のアミノ酸と比較しても少ない素材であり、マスキング(他のよい香りや別の強いにおいで包み隠すこと。)も容易とされています。粉末や水溶液中での安定性や熱や光に対する安定性も高いため、海外ではスポーツサプリメントのカテゴリにおいて、粉末や飲料、スポーツバーまで様々な形態に加工され使用されています。当院で提供しているL-アルギニンのドリンクも、粉末タイプを水で溶かしたものです。日中も出先で溶かすだけなので持ち歩きや屋外スポーツにもぴったりです*

 

さて次回は、Lシトルリンの運動パフォーマンス向上効果についてお話ししますね*

 

引用文献

1)E.Curis.et al.Amino Acids,29(3),177(2005)

2)SchwedheimE.et al.BritishJournal ofClinicalPharmacology.65(1):51-9,(2008)

3).協和発酵バイオ()調べ

 

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