三輪綾子先生をお迎えしてオンラインセミナーを開催しました*
産婦人科・美容外科皮膚科・産業医の三輪綾子先生をお迎えして、オンラインセミナーを開催いたしました*
〜女性のライフステージごとの ヘルスケアイベント *知っておくべき女性ヘルスケアの知識〜
女性は初経〜閉経までホルモンの変化に応じたヘルスケア問題を抱えています。 平均寿命が伸びた今、これらの変化に対応せず 人生を過ごすことは不可能に近い。 できるだけ快適に、病気のリスクを理解しながら健康でいるためになにができるのか、簡単な知識をお教えいたします。
月経随伴症状 /子宮内膜症 /不妊 /更年期 /子宮頸がん / 新型コロナワクチン
それはもうもう、資料も盛り盛りだくさんで。なかなかきちんと聴く機会のない専門知識を、これでもかというくらい詰め込んで頂きました!質疑応答や意見交換も活発に行われ、とても充実した時間でした。
先生のセミナーの中で、特に皆さんに知っておいて欲しいと思ったことをまとめさせて頂きますね。
内容、資料は三輪先生の許可を得て、全てそこから引用させて頂いております。
【月経困難症について】
若年女性ほど月経困難症が多いというのがデータにも出ている。
月経困難症の持続によって、他の様々な症状にも繋がりやすくなってくるため、早めに対処することが一番大事。
放っておくと、痛みの範囲が広がってきて、『慢性骨盤痛』といって生理じゃない時も痛く感じるような症状につながる。
また、疼痛閾値が低下し、これまでなら大した痛みじゃなくても痛いと感じるようになる。
月経困難症には大きく分けて2種類あり、
①器質性月経困難症
子宮になんらかの病気があって月経が困難になる。(3大合併症:子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫)
*子宮内膜症の一種であるチョコレートのう腫は、お通じする時に腸が引っ張られて痛みが出たり、子宮が引きつって性交時痛が出たりする。
*子宮腺筋症(10人に1人)は、子宮の筋肉の層が分厚くなるもので、悪化すると早産などにもつながることも。
*子宮筋腫(5人に1人) 筋肉のこぶのこと、あっても問題ないが、できる場所によって症状が出る人もいる。kg単位で大きくなると、頻尿になったりす
る。粘膜下筋腫といって、粘膜の下に筋腫ができると、子宮の内膜が引っ張られるので月経の経血が多くなる要因になる。
筋腫は変性する時に痛みを伴うことがある。水様変性、ガラス様変性などで虚血し血液が行き渡りにくくなる。
子宮筋腫はエストロゲン依存性なので、生理がある年齢の時は少しずつ大きくなる。妊娠中に大きくなり安いとは一概には言えない。
②機能性月経困難症
支給には何も問題ないけど痛みを感じる。月経の1〜2日目の出血が多い時期に痛みがあるのが特徴。
月経困難症のある若年女性(20〜30代)の70%が子宮内膜症を有するという報告もあり、若いから大丈夫ということは決してない。
月経痛がひどい人ほど子宮内膜症を発症しやすい。子宮収縮と月経量の抑制により、内膜症発症を予防できる可能性がある。
出血量を抑えられれば生理痛を抑えられる可能性があり、低容量ピルは排卵を抑えるだけではなく子宮内膜が厚くなるのを抑えるので、子宮内膜から発
生する痛みの物質を減らせる。
子宮内膜症持っている人は低用量ピルをずっと飲んで、妊娠したい時だけやめて、産んだらまた内服する、というのが理想。
【妊娠・出産】
現代は高齢出産による妊娠・出産リスクの増加している。高齢出産による合併症は多くあり、
妊娠高血圧症候群は妊娠継続している間は基本的に良くなることはなく、いきなり高くなることもある。
妊娠糖尿病は血糖をコントロールするホルモンが出にくくなることによって起こり、妊娠中は血糖コントロール薬は使えない。
産後3ヶ月以内には良くなることが多い。
補助生殖医療について。
人工授精は保険がきき、 1回あたり3~5万円ほどで、体外受精は保険適応外。男性は何れにせよ検査が半日くらいで終わるが、女性は数日に渡って行なわれるため、治療はどうしても女性に負担がかかりやすい。
また、不妊症の心理的ストレスでうつ
不妊治療のクリニックでは、治療の説明がメインになるため、精神的なサポートが手薄になりがち。
自然妊娠でも15%くらいは流産になるが、不妊治療後の流産は精神的身体的負担も大きいためサポート体制を整えることが大事。
妊娠後の心理的変化としては、
マタニティブルー、産後うつがあるが、
マタニティブルーはホルモン変動による一時的なものなので、産後うつをしっかりと治療に繋げる必要がある。
産婦人科では、産後1ヶ月健診まではあるがそれ以降接する機会が一気に減るため、フォローが手薄になりがち。
地域で連携してフォローしていく体制作りが急務。(女性とこどもの保健室の役割を再認識しました:代表 理学療法士粕谷)
【更年期障害】
「私閉経ですか?」と外来で聞かれることがあるが、月経が来ない状態が1年持続した時を閉経という。
閉経前後は、血液中のエストロゲンの分泌が乱高下するためいろんな症状が出る、
現代は閉経後の生活が長くなっているため、更年期以降の生活習慣病にも注意が必要。
更年期の世代は、頑張り屋さん、家庭の問題、仕事の問題など、全部が加わって症状の悪化につながる。
ホットフラッシュは汗がブワッと出る。ホルモン補充療法である程度改善が期待できる。
イライラ・気分の落ち込みなどはホルモン補充だけでは改善しない。
ホルモン補充療法は自律神経症状に効果があるが、副作用として血栓症のリスクが上がる。
子宮体がんは正しいホルモン剤の使用でリスク増加を防げる。
月経随伴症状や更年期は周囲の理解が乏しい傾向にある。
【女性特有の悪性疾患】
- 20~29歳のがん 5位が子宮頸がん、1~4位は小児がん
- 30~39歳 1位女性乳がん、
乳がん・子宮頸がんは日本だけ死亡率が上がっている、健診率の低さが主な要因の一つ。
*乳がんは40代から急増。
毎年7万人の人が乳がんに罹患、9人に一人の割合。遺伝性乳がんは全体の5~10%
不正出血があったら受診、子宮体癌の検査は痛いし感染のリスクもある。
*子宮頸がん
ほとんどがHPV感染によるもの(性交渉で感染)
感染しても健康な人なら1~2年の間に90%自然治癒。
話題の子宮頸がんのワクチンは何をしてくれるかというと、感染を防いでくれる。
日本で認可されている使えるワクチンは3つ。いくつのHPVを相手にできるかで違う。
①サーバリックス、ガーダシル(約5万円ほど)は、7割のHPVに感染することを予防
②シルガード9(自費)は9割予防、だいたい9~10万円
どのワクチンもトータルで3回打つ、半年以内に全部打ち終わるペース。
中1〜高1の女性は現在も公費助成(無料)、男子は自費(中咽頭がん、陰頸がん、肛門がん)
ワクチンは性交渉があった後でも意味があるので、成人してからでも打っておいて良い。
副反応について社会問題とあったが、
名古屋スタディという研究ででHPVワクチンと副反応は因果関係がないということが示された。
日本の接種率は1%未満。
ワクチンを打つだけではなくて早期発見にはがん検診が必須。
子宮頸がんは上皮内癌であるため、絶対に早く見つけた方が良い。
WHOの子宮頸がんの撲滅基準を示している。
日本はワクチンの接種率も低いし検診率も低い。
【コロナワクチンについて】
産婦人科学会が出している提言のまま。
海外の状況について
コロナワクチンは生ワクチンではないので、接種後長期の避妊の必要なはない。m-RNAはウィルスではない。
現時点では、コロナワクチンは流産率の低下などには影響ないとされている。(まだ治験中の段階なので今後の研究結果を追う必要あり)
以上、大まかではありますが先生にお話頂いた内容をまとめさせて頂きました*
今後、肌とホルモン、不妊治療、などについてより深掘りしてお話頂けたらと考えております。
こんな話聞きたい!など大募集です🌸
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三輪先生、大人気でした!ありがとうございました*
執筆:In MuSE.合同会社(女性とこどもの保健室) 代表/理学療法士 粕谷もも